第114章 あなたにもう一度第三幕(2)
殆ど休まず馬を走らせ、俺達が城に辿り着いたのは次の日の昼過ぎだった。
馬から飛び降り門番に手綱を渡すと、真っしぐらに子供達の居る部屋に向かう。政宗さんと三成も俺の後ろを追いかけ、ほぼ三人が飛び込むように襖を開け中に滑り込む。
「父上!!………母上は!?母上は一緒では?」
「ちょっと今、風邪ひいててな。安土城で休んでるから心配するな」
ひまりの姿がない事に気付いた竹千代が不安げに眉を下げるのを見て、政宗さんが適当な理由を付けて誤魔化しながら部屋の外に連れ出し、三成は大事な宝物を扱うように時姫をご機嫌で抱き上げ、政宗さんに続くように出て行く。
「……おかえりなさいませ」
丁寧に頭を下げる天女(あまね)。
俺は目の前に座り、
「……あんた、ひまりの母親だよね?」
直球に質問を投げつけた。
「………だと、したらどうしますか?」
僅かに一瞬、顔つきが変わったのを俺は見逃さなかった。よく見れば顔立ちも、雰囲気もひまりと似ている。だから当初、筆下ろしの相手だと言われても違和感をあまり感じずそんな気がした。
「あんたが会いたかったのは……俺じゃなくて……ひまり」
あの晩、どうして志願をしたのか聞いた時。
ーーどうしても、お会いしたい方が居たから……それが理由ではいけませんか?
確かにそう言った。