第114章 あなたにもう一度第三幕(2)
そして深夜にも関わらず、寒さをしのぐ様に寄り添いながらあの野原に出向いた。
ーー……ここ、月が凄く綺麗に見えますね!
手を胸前で組み、くるりとこっちに向いた笑顔。その表情がますます俺の鼓動を高ぶらせ、早まらせる。
ーーあんた薄着だし、寒くないの?……もっと、こっち来たら?
くっ付きたいから、近くに来て欲しい。なんて、素直な言葉が俺の口から出てくるはずもない。出てきたのはいつもより少しだけマシになった天邪鬼な言葉。「え……」首だけ動かしキョトンとする表情を見て、俺は自分の羽織を脱ぎ背後から抱き締めた。
ーーえっ!でもっ、これでは家康様が風邪をひいてしまいます!
ーー……これぐらいで風邪引く程、弱くないし。いいから、じっとしてて。
俺は綺麗な髪に触れ、ふと視線を横に逸らし……一輪の光り輝く花を見つけ、一旦身体を離す。夜風があっても花弁は揺れもせず、咲き続けている不思議な花。俺は散らさないようにそっと触れた。
ーー……初めて見た。
ーー…………綺麗な花ですね。
隣にしゃがみ込み、何故か切なげにそう呟くのを聞いて……気がついたら俺は、唇を重ねていた。