第114章 あなたにもう一度第三幕(2)
月夜の綺麗な晩___
ーー家康様……。
暗闇に浮かぶ白い肌に、
俺は腕を伸ばし引き寄せた。
ーー……あんた、何か消えそうで恐いんだけど。
その美しさが、この世の者とは思えなくて……。とっくに心を奪われていた俺は不安になる。
月夜にしか姿を見せず、記憶も無い。
名前も解らない。
それが余計に俺の中の不安を掻き立てた。
ーーふふっ……何処にも行きませんよ?だってこの後、素敵な場所に連れて行って下さるのでしょ?
抱いた後、ある場所に連れ想いを告げようと決めていた俺は、その事を事前に伝えていた。
ーー抱いて下さい。
腕を絡ませ、潤んだ瞳が俺を見上げる。
ずっとこの日を待ち望んでいた。
肌に触れるだけしか許されなかった日が、どれ程長く感じたか……。
僅かに感じた不安が欲望に勝てるはずもなく……俺は唇を一度重ねた後。
「……今夜は全部貰うから」
透き通った綺麗な肌に、俺は自分の中にある全ての熱で触れ……肌寒い冬の夜をお互いの肌で溶かした。
「い、…えやす、…さまっ……」
「……あんた、の中溶け…そっ」
初めて抱く女が、
初めて愛した女。
それ以上の幸せを
俺は知らなかった。