第110章 あなたにもう一度第二幕(9)
街の中を色々見て回った後、俺達二人は自然と出逢った場所の公園に向かい、ベンチに腰掛ける。
「ここにもクリスマスツリー飾ってあるんですねっ!」
キラキラした瞳。ひまりは今にも走り出しそうな感じで、華やかに装飾が施されたもみの木を指差す。
「あっ!」
立ち上がってそのまま走り出すかと思った瞬間、少し離れた所で派手にすっ転んだ一人の幼い男児。ひまりはそれを見て、一目散に駆け寄り声を掛けた。
「大丈夫?」
「ふっぇ………」
今にも泣きそうな声をあげ、地面に座り込んだままの子供にひまりは目線を合わせるようにしゃがみ込んだ。
(竹千代と同じ年頃ぐらいだな)
俺は暫く様子を見守る。
すると意外にもひまりは手を貸すわけでもなく、ただじっと子供を見つめ……。
「いっ……たぁい……ひっく」
「ほら、ちゃんと自分で立ち上がらないと……強い男の子でしょ?泣いてたら、今夜サンタさんが来てくれないよ?」
自力で立ち上がるのを待っていた。
「ひっ……サンタ…っ…さん?」
「ふふっ、頑張ったらきっと素敵なプレゼントが届くと思うなぁ〜」
ひまりがそう言うと子供は泣くのを止め、ゆっくり立ち上がった。
「すっっごい!やっぱり男の子強いね!……なら、これはお姉ちゃんからのクリスマスプレゼント!」
パチパチと数回拍手をしたひまりは、ポケットから何かを取り出し血が滲んだ傷口にそれを貼る。それを見てさっきまで泣いていたのが嘘のように、子供は笑顔を取り戻し……。
「お姉ちゃん、ありがとう!」
「ふふっ、どういたしましてっ!」
両親がいる所まで走って行った。