第110章 あなたにもう一度第二幕(9)
軽快な鈴の音が、煌びやかな街に鳴り響く。色取り取りに光る街並みはイルミネーションと言って、クリスマス特有の催しだと佐助から聞いた。光に囲まれた道を、仲良く寄り添って歩く若い男女。子供と手を繋ぎ、楽しそうに笑う家族の姿。
そんな光景が目の前で広がる。
(平和……か……)
どの光景も戦国の時代を歩んできた俺にとって、幻にしか見えなかった。
「やっぱりクリスマス当日だと、盛り上がりも凄いですね!」
「……俺、人混みに酔いそう」
「えっ!!大丈夫ですか!?……なら、静かな所にでもっ」
「………冗談」
心配そうに見上げるひまりに笑いかけ、軽く柔らかい頬を引っ張ると……。
「もうっ!本気で心配したんですからねっ!」
そこには、久々に見るむくれ顔。
(時姫も年頃になったら、きっとこんな感じに……)
そう思った瞬間。
絶対お嫁なんて行かせない。
俺は心底そう思い、決意する。
「ほら、家康さんっ!早く、早く!」
俺の腕を忙しく引っ張るひまり。
あの花畑の姿が懐かしく蘇る。
恐らく俺はもうここにはそう長く居られない。
あれが「真実」なら、
多分この時代のひまりとこうして居られるのは後、僅かな時間だけ……。俺は手首に付けた組紐にそっと触れ、今にも走り出しそうなひまりの手を掴む。
「……迷子になるといけないから」
「は、はい……///」
繋がれた手を見て照れながら笑う姿に、胸が熱くなった。