第109章 あなたにもう一度第二幕(8)※R18
家康が寝静まるのを確認した後。
佐助君に会う為、白い煙を月に向かって上げる。
けれど、彼は現れなかった。
ーー……もしかしたら、それが理由なのかもしれない。誰かが君の記憶を消すためにここに連れてきたとすれば……。
最後に会った時、記憶が消えつつあると話したら彼はそう言った。
それは元の世界に帰さない為……。
例え、元の世界に戻っても……本来の君を失くす為。失った君の記憶そのものに……理由があるのかもしれない……と。
「あれ…………?私、何で狼煙なんて上げ…て……」
約束の地。
野原。
花畑。
約束。
もう……
「自分の名前………すら、思い出せない」
ーー喜んでお受けします。
ーー無敵になれるから。
ーー失いたくない。
ーー俺の側にずっと居て。
ーー二度と離さない。
ーー愛してる……。
あなたは……誰?
三日月が暗闇の中……
私を見下ろしていた。