第108章 あなたにもう一度第二幕(7)
しばらくすると何処からか着信音が鳴り出した。音の方に目を向けると、その正体は机に置かれた携帯からだ。
「もしもし、おばあちゃん!!今、ちょうど心配……えっ!!……うん、…………………うん……解った。私なら大丈夫だから楽しんで来てね!」
ひまりは指で画面を横に動かし、携帯を再び机に戻した。
「……帰り遅くなるとか?」
「今夜は知り合いの方のお家に泊まるみたいで……おばあちゃんに一人で大丈夫かって逆に心配されちゃいました。もうすぐ17歳になるのに……私、そんなに危なっかしいかな?」
苦笑いを浮かべながら、再び洗い物をしようと背を向けるひまり。
その時だった。
この季節に珍しく外から激しい雨音が聞こえ、窓に光が走りけたたましい音が家の中にまで響く……。
ゴロゴロゴロゴロ……
ピシャーーッン!!
「きやぁっ!!」
耳を塞ぎ、身を縮こませるひまりを見て
俺は無意識に……
腕を伸ばしてしまった。
「……い、えやす……さん」
ーー……い、えやす。
俺の名を呼びながら、大きく揺れる瞳。
目の前のひまりと、ひまりが重なる。
「……大丈夫だから」
会いたくて、触れたくて……欲しくて堪らないひまりが、俺の腕の中に居た。