第108章 あなたにもう一度第二幕(7)
「いただきますっ!」
「……頂きます」
一瞬、その未知なる見た目に戸惑いながらも俺は口に運ぶ。一応、カレーという食べ物があるのは知識として得てはいたが、食するのは初めてだった。
「……………うまい」
予想外な美味に、思わず言葉が出る。さっき作っている最中に辛味が好みだと言ったら、ひまりが俺の分だけ何かを足していたのが見えた。
(唐辛子の辛さとは少し違うけど、かなり好みの味だし)
「本当ですか?簡単な料理だからあまり自慢にはならないけど……そう言って貰えると嬉しいです!でも、あんなにスパイス入れたの初めてだからちょっと心配で……」
ひまりはホッとしたように胸に手を当て、もぐもぐと口を動かす。
「辛いもの本当に好きなんですね!」
「……まぁね」
俺達は食事をしながら他愛のない話で盛り上がる。そしてあっという間に時間が過ぎ、時計の針は八時を指していた。
「それにしても、おばあちゃん遅いけど大丈夫かな?」
カチャカチャと流し台で食器がぶつかる。ひまりの声は少し心配気味。泡のついたスポンジを片手に後片付けをしながら時折時計を見て、祖母の帰りを待つ。