第105章 あなたにもう一度第二幕(4)
そして数秒後。
(こ、これなら何とか出来る!!)
私は、くるりと家康の方に身体を向け恐る恐る背中に手を回す。そして、ぴとっと、くっ付き自信満々で顔を上げた。
「その一は以上です!」
「……は?」
出来たことを報告し身体を離そうとした瞬間、背中に力強い腕が回りぎゅっと抱き締められる。
「抱き合うって、こういう意味だし。それにまだ愛撫してない」
「えっ///そ、それはじ、次回でっ!」
私の方が教える立場なのに、気づけばすっかり立場が逆転していた。
「……あのね、そんなにゆっくりしてたら俺。元服、遅れるんだけど」
やっと解放されたのに……。その言葉にほんの少しだけ悲しみが見え、家康は私の肩に頭を乗せる。
(そうだ……。家康は独立するまで、ずっと……)
人質生活を送っていた。
だから、こんなに人に対して壁を作って本来の優しさも全部、隠してしまっている。
「家康様……」
ぽつりと呼んだ名前。
愛しい人の名前。私の大切な……。
今、目の前に居る家康の苦しみが少しでも軽くなるように……自分に何か出来ないか考える。そして私は少し悩んだ後、綺麗な金色髪にそっと触れた。
「……なら、私が触れた所、同じように触れて下さい」
明暗なんて浮かばない。ただ、少しでも人肌に触れることで安心出来るかもしれないと思ったから……。
「……同じように、ね」
家康はその場で私を膝の上に乗せ、同じように頬に触れ、頭に触れ、髪に触れた。その触れ方が全部私の知っている家康そのもので、胸が熱くなる。