第105章 あなたにもう一度第二幕(4)
「ふふっ……!心配してくれてありがとうございます!」
「別に心配なんかしてない。ただ、あんた記憶ないんだし、いい歳して迷子にでもなってたら困るしね」
「私が迷子になったら、そんなに困るんですか?」
クスクスと笑いながらそう言うと、家康は驚いたように目を開き手で口元を隠す。
これは私が好きな仕草の一つ。
(でも、私が昨夜に居なかったのは何でだろう?何か理由が……?)
こめかみに指を押し当て考える。
けど、特に思いあたることはなくて更に頭を捻るように考え込んでいると……頬に冷たい指先があたった。
「それより、はじめるんでしょ?何からすんの?」
「え??はじめる??」
「……あんた自分で言った言葉も忘れたわけ?」
本当は記憶喪失じゃなくて物忘れが酷いだけなんじゃないの?
家康はそう言った後、重い息を一度吐くと私の手にあの書物を乗せる。そこでやっと、何の話なのか解った私は慌てて背を向け蝋燭の明かりで中身を読み上げた。
「その一、
ーー抱擁 抱き合って愛撫すること?」
語尾にクエスチョンマークを付けて、首を傾ける。