第103章 あなたにもう一度第二幕(2)
「現に、理論上普通ならありえない事がおきています」
佐助はこの時代に居るはずの自分がいない事。
一緒に取り込まれたひまりが居ない事。
その代わりに、まだ自分達と出逢う前のひまりがいた事。
「同時に同じ人間が存在しない……恐らく、ここで起こった出来事は未来にも過去にも反映されない可能性が大です」
「なら、さっき会ったひまりは実在はするけど、同時に存在もしないわけ?」
「……はい。今の状況を簡単に言えば、意識と実体がある空想の中に居る」
そんな感覚が適切かと。佐助は空になった湯飲みに、再び茶を注ぐと俺に視線を向ける。
「……俺の憶測では、ここは誰かが何らかの理由と意図で創り上げた。都合の良い世界。そんな気がします」
そして、それは
恐らくお二人に関係している。
何か見に覚えは?と佐助に聞かれ、俺は真っ先にあの女の言葉を思い出す。
ーー……真実を知った時、必ずあなた様は私の元に来るでしょう
(あの女が言っていた……)
『真実』
それがここにあるかもしれない。
「そう言えば家康公、刀はどうされたのです?」
「向こうに置いてきた」
ひまりが鞘がない方が身体がくっ付きやすい、とか可愛いこというからつい丸腰のままでいたことを思い出す。
「そっちのが都合が良いです。この時代だと銃刀法違反になりますから」
(???)
俺はベットという不安定な寝床の上に転がり、ひまりの事を考える。
確かにあの時、手は繋がっていた。
(ならひまりは今、何処に……)
さっきのひまりが落とした物と、
ひまりが置いて行った組紐
両方を、顔の上に持ち上げる……
触れたい。
でも、触れれない。
「や、約束ねっ///」
早く抱きたくて
堪らないのに。
俺は二つを握りしめ、眠れない夜を過ごした。