第102章 あなたにもう一度第二幕(1)
「………………」
僅かに沈黙があった後、家康は静かに私の上から離れた。
「……変な女。まぁ、俺は仲良くするつもりないから」
出逢った当時に言われた台詞と同じ台詞を言われて、胸がちくりと痛む。
でも今の私は本当の家康を知っている。
(少しずつ、また見せてくれるといいな)
その間に元の世界に戻る方法も、考えないといけない。
私の家族が待っている世界に、一刻でも早く帰れるように……。
部屋の隅で床の上に転がり、寝息を立てる家康。
言葉は一切なかったけど、それは私が布団で寝れるようにしてくれた、彼なりの素っ気ない優しさの証。
私は上布団だけ彼の身体に掛け、自分の上にこの世界に来る前に家康が掛けてくれた羽織を被る。
その香りに心が落ち着いて……
静かに涙が頬を伝った。
普通ならこんな状況
不安で仕方ないはずなのに……
少しだけ安心する事が出来たのは……
若かりし頃の家康が側に居てくれたから
……なのかもしれないね。
ねぇ、家康。
今、何処にいるの?
繋がれたはずの手に
触れながら……
私は眼を閉じた。