第102章 あなたにもう一度第二幕(1)
ずっと黙り込んだままの私に、家康は苛立ってきたのか短い舌打ちをして近づいてくる。
(だ、大丈夫!本当の家康は優しいから大丈夫!!)
自分に言い聞かせるように、心の中でそう唱えるとスラリとした腕が伸びてきて、私の手首を掴んだ。
そしてそのまま思いっきり体を布団の上に放り投げられて、組み敷かれてしまう。
「……あんた、本当の目的は何なの?俺の寝首でも掻きたいわけ?」
暗闇にうっすらと蝋燭から出る頼りない光が、鋭い翠色の瞳を照らす。
(ど、どうしよう……完全に疑われてる)
疑われても仕方ないのは解る。
家康が用心深いのは知っているし、頑なに閉じた心がそう簡単には開かないことも……
私は昔を思い出すように、すぅと息を吸い真っ直ぐ家康を見る。
「私は貴方の寝首を掻くつもりなど、一切ありません。それと、いきなり夜の相手をするのも無理です」
声が震えないように気をつけながら、言葉にする。
いくら儀式のためでも、
好きでもない人となんて悲しすぎる。
私がいくら家康を好きでも、目の前に居る家康は違う。
何より
この家康は私を愛してはいない。
(だから、抱かれるわけにはいかない)
真っ直ぐ見つめたまま、正直に思ったことを口にする。
「だから……まずは、仲良くなる所からお願いします!!」
「は………?」
「だ、だって、お互いも知らない内にそのっ///シテも嬉しくないしっ……///も、もしかしたら気持ち良くない……かもしれないしっ///」
顔が徐々に熱くなるのを自覚しながら、必死に伝える。
「な、仲良くなるまでにちゃんと書物読んで、べ、勉強しておきます//////」
言っている内容が自分でも恥ずかしくて、思わず視線を逸らしてしまう。