第102章 あなたにもう一度第二幕(1)
そして気付いたら、とんでも無い事になっていて……。
信長様が帰る前、
私の手に乗せていった書物。
その中身を見た瞬間……私は腰を抜かした。
性技のありとあらゆる方法が、春画と文章で説明されていて……咄嗟に書物を手から落とし、赤くなった顔を膝の上に埋める。
「はあ……何でよりにもよって、こんな面倒臭そうな女」
部屋の隅で蹲る私に向かって、家康は重たい息を吐く。
ちらっと文机に視線を移すと大好きな家康はそこには居なくて、代わりに出逢った頃の表情が一切ない家康が居た。
しかもお年頃の……。
「あ、あのっ、ちょっとお聞きしたいことが……」
私は勇気を出して年齢を聞いてみる。
「は……?俺の年齢があんたに何か関係あるの?」
「ちょっ、と気になって……」
「……十六」
後、三ヶ月したら十七になるけど。
私はそれでやっと解った。
ここが私が来る約三年前の世界で……
今、ここに居る家康がまだ元服を迎える前で……
そして私が今、天女さんの代わりに……
(家康の筆下ろしの相手に……?)
「……で?書物見ただけで、取り乱してるあんたが俺に何を教えるつもり?」
淡々と感情のない声が、暗い部屋の中に響く。
あの頃の俺はほんと、周りの全員が敵に見えて感情なんか捨ててたからね。
離れに行った時の家康の言葉が、浮かぶ。
(家康……出逢った頃はもう少し優しかった気がするのは)
私の気のせい?
早く子供達に会いたいのに……
これは
二人を置いて飛び出してしまった、
今度こそ
本物の天罰
なのかもしれない。