第97章 あなたにもう一度(13)
「自分は想い人しかいらないと。その人しか自分は抱けないと。……そう、はっきりと私に告げました」
「………ひ、…っく」
私はついに耐えていたものが込み上がり、一気に溢れる。
「……それが私の叶わない初恋でした。だから、そのお二人には誰よりも幸せになって欲しい」
これからもずっと。
私は霞んだ視界の中、野原に向かって走る。
そして石碑の目の前に辿り着き、
そこに刻まれた文字に
触れようと
手を伸ばした瞬間……。
「……………やっと」
突然
身体が後ろに引っ張られ
私の視界に
自分の流した涙が
風で揺れるのが見えて……
「…………やっと、つかまえた」
ひまり。
耳に、
私の初恋の人の声が
届いた。