第97章 あなたにもう一度(13)
自分のタイミングの悪さに戸惑いながらも、行き先の方向が同じだった為、ひまりちゃんと肩を並べ歩き始める。
「そうですか……お二人でも喧嘩する事あるんですね」
「今までも言い合いはしょっ中してたんだけど……でも、ここまで喧嘩した事はあんまりなかったかな?」
私は苦笑いを浮かべた後、爪先に視線を落とす。
今回の件にひまりちゃんも関与しているとは流石に言えなくて、私は喧嘩して城を飛び出したとだけ伝えた。
(気になるけど、今更聞けないし……どうしよう)
頭の中と心の中の別の感情が折混じり思わず溜息を吐くと、ひまりちゃんは突然私に初恋はいつですか?と聞いてきた。
「え……?初恋?」
私が首を傾げると、ひまりちゃんは少し遠くを見ながら話を続ける。
「……初恋というより、初めて本気で人を好きになった初恋です。……私は五年くらい前でした」
私はその言葉に、肩が小さく跳ねる。
その先にある言葉が妙に胸を騒つかせ、ちくちくと痛み、耳を塞いでしまいそうに。それでも今、聞かなければいけない。聞くタイミングがきたんだ。そう思い、私はぎゅっと唇を噛んだ。
「……今なら話せそうな気がするんです。……聞いてくれますか?」
私は頷くことも首を振ることも出来ないまま、ひまりちゃんは一呼吸をし、静かに話を始めた。