第97章 あなたにもう一度(13)
城の皆んなに挨拶を一通り終えた後、私は竹千代の贈り物を買う為、呉服屋さんに来ていた。
この時代は、五歳になると無事に成長した節目に神様に感謝する儀式があると聞き……その時の衣装を竹千代に仕立ててあげたくて、私は顎に手を添え吟味して反物を選ぶ。
(要するに私達の時代でいう、七五三の事だよね?)
「ひまり様、この反物はいかがでしょうか?」
私はご主人さんが勧めてくれる、反物を手に取り張り具合を確かめる。
「……これ、凄く素敵ですね!柄も男の子って感じがして」
金色の生地に鷹が描かれた反物は、品もあり勇ましい雰囲気もあって、張り具合の質も袴を仕立てるにはピッタリ。
私はそれに合う羽織の反物も選び、時姫には縮緬細工の花の髪飾りをお土産に買い、店を後にした。
(もうこんな時間!急がないと!!)
夕方になる前にはここを出ないと、あの宿に戻るのが遅くなると思い、反物を詰めた風呂敷をサッと背負う。
そして野原に向かって走り出した瞬間……。
「きゃっ!」
「わぁっ!」
誰かと肩がぶつかり、バランスを崩す。
私は慌てて頭を下げ謝った。
『「ご、ごめんなさいっ」』
(え……?この声)
「ひまりさん!?」
「ひまりちゃん!?」
私達は同時に顔と声を上げ、驚いた顔つきでお互いを見合った。