第96章 あなたにもう一度(12)
やっとひまり会える。
徳川家康は胸を撫で下ろした。目の前の父親の面を被った鬼が、許してくれたと思い……
立ち上がり、ひまりの居場所を尋ねる。
しかし織田信長という鬼は喉を楽しそうに鳴らし、家康の問いには答えない。
代わりうすら笑みを浮かべ……。
「クックッ……。俺からの仕置は以上だ。次は、秀吉と光秀の番であったな?」
「は………?」
家康は、先ほどまで激を飛ばされていた事をすっかり忘れ、間抜けな声を出す。
次に目の前に現れた
「豊臣秀吉」と「明智光秀」という小鬼がじりじりと家康に忍び寄る。
「家康、お前……いつもひまりが男に言い寄られる度、お仕置きしてたらしいな」
「まさか、自分だけは簡単に許して貰おうなどと……馬鹿な考えはしてないだろう?」
家康は一気に血の気が、引く。
思わず刀を探すが、丸腰だった事を思い出し……
小鬼たちに腕を掴まれる。
「『覚悟しろ』」
言葉では、とても表現出来ないぐらいの仕置と雷が落ちたが……家康は何とか耐えた。
今度こそ、愛しのひまりに会える。
しかし今度現れた
「石田 三成」
最強な小鬼は満面の笑みで……
「ひまり様なら、家康様が到着なさる少し前に、城を出ていかれましたよ?」
ニコニコとそう告げ。
「……残念だったな」
全ては、父親の面を被った鬼の罠。
しかし、鬼も完全に鬼ではなく……
「ひまりは、子に贈り物を買い野原に寄ってからお前の元に帰ると、言っていた」
今頃、一人で泣いておる。
「とっとと、迎えに行け!!」
家康は再び立ち上がり丸腰なのも忘れ、一目散に野原に向かって走り出した。