第96章 あなたにもう一度(12)
「家康様!本当に申し訳ありません!」
「信長様の命令で、致し方なく!」
《バンッ!》
(く、そっ……)
やっと城に着いた俺は嫌な予感が的中。門を閉められ、中に入る事さえ難しい状況に陥っていた。
「これは……想像していたより困難ですね」
「佐助、今すぐお前の忍術教えてくれ」
「あれを取得するには最低でも一年は掛かります。それにこれだけ警備が頑丈だと俺でも流石に厳しいかと……」
俺は門の前で座り込み、頭を捻る。
(少なくともひまりが中に居ることは、これで解った)
あの人に下手な小細工しても通用しない。なら、やはり真っ正面から突っ込んで行くしか方法は無さそうだ。
俺は少しでも身軽になるように、羽織を脱ぎ刀を置く。
「……い、家康公、本気ですかっ!?」
武士にとって刀が命の次に大事なのを知っている佐助は、俺の行動に滅多に見せない驚きを見せる。
「悪いが、俺にとったら刀よりも命よりも大事なのはひまりだ」
丸腰で鬼退治に行く。
俺は城壁を登り、一番手薄な警備の場所に降りると一気に城まで走る。
「い、家康様!」
「お待ち下さい!!」
(まずはひまりの部屋にっ!)
追ってを振り切り、一部屋ずつ居そうな所を探す。
ひまりの部屋、針子部屋、広間……。
(く、そっ……一体何処に)
走り回るよりも直接居場所を聞くのが手取り早いと思い、天守まで一気に階段を駆け上がる。
バンッ!
「……ほぅ。丸腰で来たか」
荒い呼吸で飛び込んで来た俺を見て、満足そうに目の前の鬼は笑った。