第94章 あなたにもう一度(10)
(佐助視点)
家康公に会ったのはここ数日気になる事があり、調べている最中だった。
「ひまりさんが、家出を?」
「……目的が終わればすぐに戻ると、文には書いてあったけどね」
川舟が動き出す時間まで宿で待機する事にした俺達は、懐かしむ暇もなく深刻な話をしていた。
「……で?佐助は何してたの。こんな夜更けに」
ある程度の事情を家康公から聞いた。だからこそ俺は、正直にこの話をしていいのか悩む。
(こんな時にワームホールの力を再び観測したとは、言いにくい……)
しかし、家康公に下手に嘘を吐いても通用しないと思い俺は重い口を開く。
「……消滅したはずのワームホールが再び観測されました」
「なっ!まさかまた、ひまりが元の来世に!!」
家康公は明らかに取り乱し、あの時と同じように俺の肩を掴んだ。
「いえ、それが何かが少し違う気がして……それを調べている最中でした」
ワームホールと言うより、何かの歪みのようなモノ。それを感じていた俺は、今は何よりもひまりさんを探し出す事が最良だと、家康公に伝える。
「ひまりは恐らく……最後はあの野原に向かう。だけど、出来ればそれまでに見つけたい」
家康公はそのまま口を閉ざす。掴んでいた俺の肩をゆっくり離すと強まる雨音に反応するように、窓の外を眺めた。
「……彼女も本当はあなたに会いたいはずです」
俺は最後にそう言って、同じように口を閉じ……月を眺めた。