第93章 あなたにもう一度(9)
「……っく……私だって……同じだ、よ?」
文を握り締め、涙がその上を濡らす。でも、あのまま待っていても私はきっと向き合えなかった。誰かの口から先に聞いてしまった話を、家康の口から聞くのが怖くて堪らなかった。
とても待ってなんかいられなかった。
だからって、子供達まで置いて出てくるなんて……。
「ご、……めんね。ほ、んと母親失格だ…、ねっ」
本当にごめんなさい。
ーーひまりっ。
ーーんっ、家康。
この部屋で数え切れないほど家康に抱かれた日の思い出。明け方まで話をした思い出。旅の疲れをお互いを思い合い癒した思い出。その日々を思い出しながら、私はたった一人。何にもぬくもりのない布団の中で……夜を過ごした。
まさか家康が寝る間も惜しんで、
私を探してくれているのも知らずに。