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フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第1章 近くて遠い君 ※【黒尾鉄朗】



「あ、ごめんね?」

「いや、いーよ」

俺の視線に気づいて、彼女は申し訳なさそうにする。
スマホ触ってたからだと思ったみたいだ。
全然違うんだけどね。
でも、見惚れてたなんて言えねーし……。

「何かさっきと感じ違うな」

少しだけボカしてそう言ってみた。
はっきりとした長い睫毛に、つやつやで色が乗った唇。
カフェで見た梨央ちゃんとは違う。

「あー、ちょっとお化粧直したから…」

「やっぱプライベートは違うんだ?」

「ん…ていうか。てっちゃんに改めて見られるのに、老けたなーって思われるの、嫌だもん」



…………は?
何だ、それ。
俺が……理由……?

おいおい、梨央ちゃん。
自分が何言ってるかわかってる?
そんな色気漂わせて。

少しでも綺麗な自分を見てもらいたいって、俺に言ってんの?

男はさ、そういうの勘違いするって知らねーのかよ…?



心で渦巻くそんな気持ちを、取りあえずは全て飲み込む。
普段なら茶化したりからかったり、そんなことする俺だけど。


「そんなん気にしなくても、梨央ちゃんは綺麗なままだよ」


梨央ちゃんが気にしてる部分だけはうやむやにしたくなくて、正直にそう言った。
そしたら一瞬控え目に笑って、小さく「ありがと」と呟いた。




それからは、普通にお互いの近況とか話しながら酒を進める。

「てっちゃんは実家出てるの?」

「ああ。就職してから一人暮らし。あ、そう言えば。ホテルに就職したんだったよな?最初」

「うん。最初の三年くらいは修行だったよ。ゆっくり実家に帰る時間もあんまりなくてね。でも少しだけ今は余裕もできて、それで転職した。カフェだとお客さんとの距離が近いから、いいも悪いもダイレクトに伝わってくるの。それがやりがいにもなるんだ」

「そっか…」

確かに。
さっきケーキの話してた時。
生き生きしてたよな。


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