第1章 近くて遠い君 ※【黒尾鉄朗】
「本題に入りましょうか」
戻ってきた店長が仕切り直す。
まず、人数分のコース料理にするか、ビュッフェ形式にするか。
体育会系の男だらけの飲み会。
食うには食うだろうけど、高校生の頃とは違うしな。
酒が強い奴らは結構いるし、飲めりゃいい節もある。
ビュッフェにしても、料理を余らせるだけかもしんねぇ。
「一人分のコースでも結構量ありますね…。人数分のコース頼んで、ソフトドリンク込みの飲み放題つけてもらえばいいんじゃね?」
「だな!じゃ、それで!」
木兎に振れば、即答される。
「わかりました。では18人分、ご用意いたします。よろしければ、オリジナルのケーキもご注文いただけますよ?」
「オリジナルって?」
「こういった感じのケーキなんですけど。これはお誕生日用に作ったものなんですが」
そう言って見せてくれたのは、ホールケーキの写真。
「似顔絵をケーキの上に描いたり、ケーキをキャラクターの形にして焼いたり。事前にご予約いただければ承ります」
「おお!いいじゃんいいじゃん、ソレ!」
「例えばですけど。バレーボールをデザインしてもらうこととかできますか?」
どうせ男だらけ。
ただの飲み会になるのは目に見えてる。
何かひとつくらい、結婚祝いのサプライズ的アイテムがあってもいい。
「できると思いますよ。詳しいことはパティシエ……ああ、彼女に」
店長が目を向ける先。
近づいてきた人物。
白いコック帽に白いコックコート。
手には香ばしいコーヒー。
それをそっと俺の目の前に置く。
「…………梨央ちゃん」