第1章 近くて遠い君 ※【黒尾鉄朗】
「黒尾!こっちー!」
相変わらずだな、こいつは。
ツンツンしたムササビヘッドは高校の頃から変わらず。
でかい図体にでかい声も変わらず。
俺を呼ぶその声に、店内の客が一斉にこちらを振り返った。
「木兎うるせー」
「第一声がそれかよっ!」
オフィス近くのバーのカウンター席。
あのLINEを受け取った日から数日が経った今日。
俺はこいつと久々の再会を果たした。
会うのはいつぶりだ?
確か去年の夏は赤葦やツッキーと飲んだはず。
プロとしてバレーを続けている男は、周りで木兎だけ。
高校生の頃、全国で五本の指に入るスパイカーだったのはダテではない。これでなかなか忙しい。
「何になさいますか?」
「あー、シャンディーガフを」
「かしこまりました」
カウンターの向こうからバーテンダーに声を掛けられ、取り合えず飲みやすいものを選ぶ。
「元気だったかぁ、黒尾?」
「まあ、ぼちぼち」
「早速だけどさぁ、リエーフのこと!」
「ああ。人数どんくらい?」
「声かけて来れそうなのは20人ってとこかなー」
こうして会ってるのは、リエーフの結婚祝いを内輪でしようってことになったから。
披露宴はもう済んだんだけど、木兎は出席できなくて。
「俺祝ってない!祝いたい!」としつこくて、まあ結婚祝いと称した飲み会をしようってことになったのだ。
「この近くにカフェあるみたいじゃん?貸し切りできるらしいんだけど、ここどう?」
木兎がスマホをいじって俺にディスプレイを見せてくる。