第1章 近くて遠い君 ※【黒尾鉄朗】
新しい生活は目まぐるしく過ぎていく。
バレーは大学でも続けていた。
どんな形でも、ずっと続けていきたいと思える数少ないもののひとつ。
勉強にバイト、二十歳を超えれば飲み会もしょっちゅう。
そんな中で、普通に恋愛もした。
梨央ちゃんとは、時々連絡をとり合う仲。
「明けましておめでとう」だったり、「有給もらえたから帰るよ」だったり。
でもそのタイミングで上手いこと時間がとれるってワケでもなくて。
会ったのは、家の近所でたまたま。
あと、近くのコンビニでもバッタリ。
少しだけ言葉を交わして、「またね」と別れる。
二人で歩いた桜並木の物悲しさも、忙しい日々の中で次第に薄れていった。
そして―――。
あれから何度目かの桜の季節が、また巡ってきた。