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日章旗のデューズオフ

第18章 【拾伍】炭治郎&炎&水(鬼滅/最強最弱な隊士)



正直、萩野食堂の朝餉定食は「本当に朝餉かよ」と笑ってしまうくらい元々の量が多く、そこに持って来て姐さんが満足する程の量を拵えるとなると流石に時間が足りないかと顎を捻っていたところだったのだ。味付け以外の場面で、猫の手も借りられたらと思ってしまっていた。
料理が出来る人物は、俺の知る限りで姐さんだけだった。蟲柱殿の拵える、計算され尽くされた四角四面な存在を料理と呼んで良いのなら彼女も数に入るが、そもそも労おうとする相手に助力を乞うのは御門違いと云うものだろう。
だからといって稽古を中断させてまで俺の私用に竈門を付き合わせる事が正しいわけがない。記憶を整然と並び立てて端から効率良く進めていけば、限り限り捌き切れるかと内心で算盤を弾いている際、而して彼の方から「名前さんから困っている匂いがします」と声を掛けて来たのだ。
竈門曰く、どうにもじっとしている事が駄目らしい。己が手を貸せる場面であれば惜しみたくないと断言して微笑む姿は眩しく映った。同じ『尽くすこと』でも俺の歪な性質とは正反対の、正道を往く陽だまりのような善意に、心地良い諦念を抱きながらも眇目せざるを得なかった。
「玉ジャリ継子野郎ッ! 早く天麩羅を寄越せッ!」
「こら、伊之助! 『名前さん』だろう!」
「──名前ッ! 俺様は腹が減ったッ!」
食事が出来ると期待して興奮しながら俺の後を着いてきていた伊之助に嫌な予感を覚えた為、「台所の土間叩きまで降りたら天麩羅抜きだからな」と初めに釘を刺しておいたお陰か、一応は上がり框で地団駄を踏みつつ怒声を張るだけに留まっている。
あの様子では絶対に奴の摘み食いが過ぎて段取りが狂っていただろう。自分の直感を信じて良かった。兎にも角にも刻が惜しいから、料理を進めてしまわなければ。猪頭の鼻先から荒らぐ呼気を吹き出す伊之助の事は、慣れた様子の竈門に任せておけば良い。
(……気を取り直して、と)
蓄熱性の高い鋳鉄製の大平鍋に、厚切りの鰤を皮目から隙間なく敷き詰める。皮と身の間に有る銀皮と呼ばれる部分には美味いとされる脂がたっぷりと詰まっているが、同時に独特の生臭さが残り易い場所でもあった。だから最初に皮目を焼き付ける事で臭みを飛ばす。溶け出した脂は天然の揚げ油になり、パリッとした皮の歯応えへと回帰するのだから堪らない。

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