第18章 【拾伍】炭治郎&炎&水(鬼滅/最強最弱な隊士)
主菜は鰤の照り焼きと鶏の大根煮。姐さんの好みに合わせて厚切りした寒鰤を、萩野食堂秘伝の甘辛タレで焼き上げるのだ。そこに、肉厚な鶏の出汁でとろとろに成るまで煮込んだ大根を添えて差し上げれば、冬空の元で冷えきった身体は忽ち体温を取り戻すだろう。
活力の補給として最適な揚げ物は里芋の磯辺揚げと大海老天。冬に甘味を増す里芋を一度煮てから揚げる事で、外はざっくり、中はねっとりとした食感になって堪らない。鼻腔を抜ける磯の香ばしさも肝要なり。大海老天は荻野食堂でも祝日にしか提供しない代物だが、俺の為に尽力して下さった姐さんを労うのに振る舞ってこその逸品と言える。
副菜は凍み豆腐の卵とじであっさりと。彼女は、優しい出汁とたっぷりの卵でとじる少し甘い味付けを大層気に入られていた。俺は滑らかな舌触りと喉越しが好きだ。その原理は与り知らぬ事だが、なんとなく鰤の脂を中和してくれる気もするのだ。それに栄養補助の観点から見ても、豆腐と卵は身体を形成する為に不可欠な成分を含んでいるから血肉へ還り易く思う。
汁物は根菜たっぷりの粕汁。寒さが骨身に沁みるような真冬でも身体が燃えるように温まる。ほくほくの歯触りが心を緩める乱切り人参、食感重視の笹掻き牛蒡、味染みが保証された手千切り蒟蒻と細切りの油揚げ、満足感抜群の輪切り竹輪。
食べ応え満点の具材で溢れ返った大鍋に、たっぷりの酒粕と風味付けの味噌を溶かし込み、仕上げに刻んだ生姜を乗せる。一口飲めば指先まで血が巡る、主菜のような汁物だ。
「名前さん! 一回目のお米が炊けました!」
「櫃へ移してくれ。次の炊飯も頼んだ」
「はい! お櫃はこの間と同じ場所に有りますか?」
「うん。あ、しゃもじはそっちに有るんだ、悪い」
「分かりました!」
竈門が未だ岩柱邸に居て助かった。後藤への遣いを済ませたら岩を押す稽古に戻っているとばかり思っていたが、俺達が下山して来るまで律儀に待機していたらしい。脇差について話があると言って邸に残っていた鉄穴森さんと談笑して過ごしていた。それとは関係無しに、俺の体液から吸収した経皮毒に酔って動けなかった可能性もあるが。
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