第15章 【拾弐】時透&煉獄(鬼滅/最強最弱な隊士)
「なにそれ恥っずッ!!」
「そうかな。少なくとも僕は内容を聞いて感動したんだけど。柱に匹敵する強さを持つ丙階級の隊士が居る事は、組織にとっても明るい話だ。だから貴方に強い期待を寄せてた。周囲を顧みず孤独に研鑽を積んでいる様子が窺えて、共感すらしてた」
「過度な期待というやつでは……」
「うん。それは身をもって思い知らされた。貴方の強さは炭治郎達との手合わせを見てる限りじゃ判断が付かなかったし。緊急の柱合会議の時からずっと立場に囚われて立ち居振る舞いが挙動不審だったし、僕の一言くらいで悲喜交々って感じでさ。なにより──いつも周りに誰かが居て、全く独りじゃなかった。どこが孤高? 何もかも評判と正反対で、がっかりしたよ」
泣きっ面に蜂とは正にである。身に余る異名の一人歩きに戦慄する暇もなく、一方的に失望した旨を告げられる惨めさたるや筆舌に尽くし難い。
俺が本当に鬼殺隊のお荷物で味噌滓だったなら、柱から手酷く扱き下ろされた瞬間に大号泣である。ギャン泣きである。彼特有の辛棘さを差し向けられた相手が、ある程度の戦闘技術と身体能力への自負がある俺で良かったと胸を撫で下ろすべきか。
(……いや、いやいや、流石にここまで言われて聖人に徹せないだろ。だからあんなに空蝉に興味津々だったのかとか、だから姐さんとの会話に妙にお冠だったのかとか、成程と思っても納得できるかっての)
身の毛がよだつ評判の出処も気になるし、それを真に受けるような性格とも思えない霞柱殿の真意も理解出来ない。俺の脳内演算は過熱し、動作不良的限界を迎えようとしていた。
「……でも、評判に惑わされた僕が悪かったんだね。噂を前提にして貴方を評価するんじゃなく、貴方自身を見なければならなかったのに」
「……」
「都合の良い言い訳にしか聞こえないと思うけど、嘗ての俺にはどうする事も出来なかったんだ。失ったものが一体なんなのかも分からずに手探りで生きていたから。自分のことで手一杯で」
「!」
→