第27章 小さな太陽と大きな背中
そういやさっき···
「つうか、影山。お前、紅白戦とやらで負けチームだったのか?」
話題を変えようと影山に声をかける。
影「···ゥス」
ははっ、やっぱりな。
「なるほどな。大方、紡の勘の良さにやられたって事だろ」
初めて紡を見た時、ボールに関しての読みは半端なかったからな。
それに、プレーしながらの的確な指示だってそうだ。
俺と及川が見に行った紡の···最後の大会。
結果的に負けはしたけど、試合中の指示だしはしっかりしてた。
及「まぁね~、なんせ師匠はオレだからね」
「ちげーよ!紡の兄貴達だろ!」
何を言い出すんだ及川!
しかも変なポーズやめろ!
『あ、でも!及川先輩にもいろいろ教わりましたよ?』
紡も及川を調子乗らせんなよっ!
及「ほら」
「ドヤるな!」
いつものように及川をヒザで蹴って、何ら変わりない俺達の小騒ぎへと続く。
澤「それじゃ、紡の帰りが遅くなるから俺達はこの辺で」
頃合を見計らった澤村が、紡を引き寄せて言った。
「あぁ、またな」
そう言いながら、目だけで···引き止めて悪かったな、と告げる。
それを感じたのか、澤村も俺に穏やかに笑いを返した。
歩き出す3人を、まだ、立ち止まったままで見送る。
歩く方向は同じなのに、そこまで一緒に···と言えないもどかしさが、痛痒い。
及「あれ?紡ちゃん戻って来たよ?」
少し進んだはずの紡が、小走りで俺達の元へと戻ってくる。
『ハジメ先輩!及川先輩!』
及「はいはぁ~い」
「···なんだ?」
俺達の前に立ち、紡は真っ直ぐ顔をあげる。
『これから先、烏野はどんどん変化すると思います。だから···その···』
「だから、の、続きは?」
『私は正式に烏野男子バレー部のマネージャーになりました!だから、これからはハジメ先輩と及川先輩のライバルです!···大会では、負けませんよ?』
「たいした自身だな。で、その根拠は?」
キラキラした笑顔で紡は背筋をピンと伸ばした。
『根拠は···』
及「根拠は?」
『私がみんなと一緒に走る事を決めたからです。列からはみ出たら押し戻して、遅れがちなら背中を押す。私が遅れそうになったら···みんなが引っぱってくれる。それが根拠です』
「言ってくれるな、お前は。だが···」
及「オレ達だって、負けるつもりはない」
