第27章 小さな太陽と大きな背中
チャラチャラした顔から、冷たい空気を纏った顔になり及川が言った。
「テメェ···俺が言おうとしたことをだな!」
及「イイじゃん別に。オレが主将なんだから、さ?」
「胸張って言えるほど立派な主将じゃねぇだろが!このチャラグズ川が!」
及「岩ちゃん酷い···オレの事をそんな風に思ってたなんて」
「今に始まった事じゃねぇだろ!」
及「そんな昔から···」
「うるせぇ、黙れクソ川!」
『何だかんだ言って、ずっと仲良しですね~』
俺達のやり取りを聞きながら、紡が笑い出す。
『その中に···私もいたんですよね、前は』
ひとしきり笑って、紡がポツリと呟いた。
「今だって、変わんねぇよ。お前も遠慮なく、このグズ川に鉄拳食らわせてやれ」
及「岩ちゃん?!紡ちゃんは岩ちゃんみたいに野蛮な事しないから!」
『鉄拳ですか?···今度やってみようかな?』
及「紡ちゃん?!」
企み顔でまた笑い出す紡に、及川が慌てて両手でガードを見せる。
何もかわらねぇ、俺らのやり取り。
···変わっちまったのは。
俺と、紡の距離。
遠ざかることもねぇが···近づく事も、ない。
澤「紡~?遅くなったら桜太さんに叱られるぞ?」
『は~い!いま行きます!···じゃ、大地さんの所に戻りますね···さよなら』
及「バイバイ、紡ちゃん!キャプテン君と飛雄に襲われないようにね!」
「アホか!アイツらがそんな事するわきゃねーだろが!···紡、さっきの言葉、忘れんなよ?」
忘れません、負けませんから!元気に答えて、紡は二人の元へと駆けて行った。
及「あ~あ、ホントに行っちゃったね」
「あぁ、そうだな」
及「紡ちゃんがライバル宣言とか」
「あぁ、そうだな」
及「ちょっと岩ちゃん?オレの話聞いてる?」
「うるせぇなお前は!ったく、行くぞ及川。ラーメン食って帰る」
及「あれ?家で飯食えって言ったの、誰だっけ?」
「気が変わった。腹減った。及川奢れ」
及「どういう理由だよ!!」
うるせぇな···いま歩き出したら、追いついちまうだろうが。
俺達の距離は、ラーメン食って帰る位でちょうどいい。
「行くぞ。今日は何食うか···餃子も付けるか?及川の奢りだし」
及「だーかーらー!何でそうなる?!」
うだうだとうるさい及川を置いて、俺はひと足先に歩き出した。