第27章 小さな太陽と大きな背中
「それよりいいのか?影山に堂々とあんなこと言われてよ?」
軽く笑い話でもする様に、顔だけを澤村に向けて言ってやる。
すると澤村は小さく笑いを浮かべて、紡の頭から手を離し緩く腕を組んだ。
澤「あぁ、俺は別に大したことだとは思ってないから。もともと紡と影山は仲良しだからね」
「そっか?俺だったらぶん殴るケドな?」
まぁ、それは···及川限定だけどな。
澤「あはは、それは穏やかじゃないな」
そうか?と小さく返し、別に誰彼構わずぶん殴る訳じゃねぇよ、と笑って見せた。
澤「それに、束縛したくはないからね」
「何だかんだ、心の大きいヤツだな。及川も見習っとけや。あ、そうだ。爪の垢でも貰って帰れ。澤村のだったら、ご利益あるぞきっと」
こんなに落ち着いた感じの、多少の事なら動じない感じのヤツなら、及川のいい薬だろ。
澤「え?」
及「なんでそこでオレ?!っていうか、なに?!どういう事?!」
「···お前が、割り込む隙間はないって事だ。もちろん···俺もな」
及川を制圧するように放つ言葉が、俺自身も縛って行く。
及「そんな事ないよね、紡ちゃん?」
『あの···?』
影「及川さんっ!」
及「なに、飛雄。別に紡ちゃんは飛雄のモノじゃないでしょ?だったら余計な口は挟まない」
コイツは···ホントに···油断ならねぇ!
及川に引き寄せられた紡の表情が、みるみる内に硬くなって行く。
「おい!どさくさに紛れて何してやがる!」
及「岩ちゃんだって、紡ちゃんとは何にも関係ないじゃ~ん?なのに、なに慌ててんのさ?」
それは、正論と言えばそうだ。
だが別に慌てている訳じゃねぇ。
だって紡には···
澤「じゃ、俺だったらいいってワケだ?」
ふいに掛けられる言葉に、俺と及川が顔を向けた。
及「何を急に···そんなのキミにも関係ないんじゃないの?キャプテン君?」
いや···だから···澤村は···
澤「ま、どう思ってくれても俺は構わないけど、関係なくは、ないんだよね···おいで、紡」
軽く組んでいた腕を解き、澤村は紡に向けて両手を広げた。
次に俺に見えたのは、少し驚いた顔をする紡の姿と···
それから···戸惑いと、迷いで揺れている瞳。
紡は俺や及川、それから澤村や影山の顔を順に見ながら、まだ、立ち尽くしていた。