第27章 小さな太陽と大きな背中
~岩泉side~
及「珍しいよね、岩ちゃんが自主練しないで帰るとかさ?」
「別に、たまたまだ」
練習はした方がいいとは思ってる。
でも、オーバーワークは駄目だ。
俺が自主練すると言えば、コイツもきっと残るからな。
及「お腹空いたね~!あ、岩ちゃん?久々に寄り道とかしちゃう?」
「うるせぇな···飯は帰ってから食え」
及「えぇ~···」
グズグズ言い出す及川と歩きながら、少し先に見知った後ろ姿を見つけた。
あのチグハグな身長差の連れ合いは···紡と影山、だな?
それに、もう1人は···澤村、か?
声、かけるべきか。
それとも、気が付かないふりしてやり過ごすべきか。
いずれにしても帰る方向が同じだから、ずっと後ろをついて歩くのも不自然だろ。
及「岩ちゃん、あそこ歩いてるのって紡ちゃんじゃない?」
···目ざといヤツめ。
「あ?そうか?」
及「絶対そうだって。オレの紡ちゃんアンテナが反応してる!」
「お前のソレは当てにならねぇけどな」
しゃあねぇ、軽く挨拶程度に声掛けてみるか。
ほんの少し足を早め、チグハグな後ろ姿に近付いた。
「よう、」
影「だから!オレはお前と一緒に作る飯なら何でもいいんだよ!」
澤「影山···往来で凄い殺し文句だな···」
「プッ···確かにな···」
声をかける直前に聞いた会話に、思わず吹き出してしまった。
『あっ···』
影「岩泉さん···と、及川さん」
驚いて振り返る紡と影山は、俺達の姿を見て更に驚いていた。
今帰りか?なんて軽く声をかけ、ごく自然に普通の会話を続けようとしたのに。
及川が騒ぎ出し、紡に近寄って行く。
「お前は邪魔だって言ってんだよ、紡は!」
ほんっとコイツは隙あらば絡もうとするから、油断出来ねぇ。
及「岩ちゃんはすぐ紡ちゃんの味方する···」
「当たり前だろ、そんなの。後輩···だからな」
後輩···
自分で言った言葉に、胸がチクリと痛む。
その痛みを隠すように紡を見れば、なぜだか少し俯いていて。
そんな紡の頭に、澤村がそっと手を置いた。
···そっか。
そうだったよな。
紡にはちゃんと、守られるべき相手がいるんだ。
俺が慌てる必要も無かったんだったな。
そう思って、肺に溜め込んだ空気を吐き出しながら、影山を見てさっきの言葉を思い出す。