第27章 小さな太陽と大きな背中
『大地さん!今日は私、すっごい頑張ったのに!影山がいるスガさんチームにも勝ったし!!』
澤「そうだったな、確かに。紡の適格な指示で白熱した紅白戦だったよな?」
拗ねた子供をあやす様に、澤村先輩が何度も頭を撫でる。
『そうやってすぐ、大地さんは私を子供扱いする···』
澤「小さいからね」
『小さい?!大地さんまで小さいとか!!』
もう!と、ひとつ拗ねて、プイッと横を向く。
澤「あはは、そう拗ねるなって。そういうところが、いろいろ擽るんだからさ?な、影山?」
影「···俺に振らないで下さいよ」
及「何なのそのラブラブファイヤーな感じ!納得行かないんだけどオレ!」
岩「ま、そういう事だ。諦めろ」
言いながらハジメ先輩が及川先輩の肩に手を置き、笑った。
少しだけ、遠くを見るような目をしていたのは···私の気のせいだろうか。
岩「つうか、影山。お前、紅白戦とやらで負けチームだったのか?」
無理やり話を変えるように、ハジメ先輩が影山に笑いかける。
影「···ゥス」
岩「なるほどな。大方、紡の勘の良さにやられたって事だろ」
勘の良さ?
及「まぁね~、なんせ師匠はオレだからね」
岩「ちげーよ!紡の兄貴達だろ!」
『あ、でも!及川先輩にもいろいろ教わりましたよ?』
及「ほら」
岩「ドヤるな!」
その後ハジメ先輩が及川先輩をヒザで蹴って、いつもの小騒ぎへと続いた。
澤「それじゃ、紡の帰りが遅くなるから俺達はこの辺で」
岩「あぁ、またな」
またな?
いつの間に澤村先輩とハジメ先輩は···仲良くなったんだろう。
···練習試合の時かな?
あの時は私、影山と救急車乗っちゃったし。
その後の事はあまり知らないし。
今度、聞いてみよう。
澤「行くよ、紡?」
『あ、はい』
そっと私の背中を押しながら、澤村先輩が歩き出す。
私は数歩進んだ所で振り返り、まだ同じ場所にいる2人の姿に視線を移した。
言わなきゃ···言わなきゃいけない事が、私にはある。
これが私の、ひとつの···ケジメだから。
小さな深呼吸をして、背筋を伸ばし···そして、名前を呼んだ。