第27章 小さな太陽と大きな背中
岩「何だかんだ、心の大きいヤツだな。及川も見習っとけや。あ、そうだ。爪の垢でも貰って帰れ。澤村のだったら、ご利益あるぞきっと」
澤「え?」
及「なんでそこでオレ?!っていうか、なに?!どういう事?!」
岩「···お前が、割り込む隙間はないって事だ。もちろん···俺もな」
何の話なのか、全然わかんない。
及「そんな事ないよね、紡ちゃん?」
スルッと私の肩に腕を回し、及川先輩が引き寄せる。
『あの···?』
影「及川さんっ!」
及「なに、飛雄。別に紡ちゃんは飛雄のモノじゃないでしょ?だったら余計な口は挟まない」
色んな事情を知っている影山が少し慌てて言うも、及川先輩は冷たい視線を影山に投げるだけだった。
及川先輩が触れている場所が、にわかに硬直する。
あの日の···記憶が沸き起こってきて、恐い。
岩「おい!どさくさに紛れて何してやがる!」
及「岩ちゃんだって、紡ちゃんとは何にも関係ないじゃ~ん?なのに、なに慌ててんのさ?」
何にも関係ない。
そう言われてしまえば、ハジメ先輩も言い返す言葉が見つからないようで口を噤む。
澤「じゃ、俺だったらいいってワケだ?」
澤村先輩?
及「何を急に···そんなのキミにも関係ないんじゃないの?キャプテン君?」
澤「ま、どう思ってくれても俺は構わないけど、関係なくは、ないんだよね···おいで、紡」
軽く組んでいた腕を解き、私に向けて両手を広げる。
これは、どういう事?
私は、どうするべき?
何が正解?
いくつもの思案が脳裏を巡る。
どうすれば···いいの?
影「おい、城戸」
『影山?』
影「お前、普段は所構わず澤村さんとベタベタしてるクセに、何を今更···恥ずかしがってんだ」
『所構わずって?!』
影「してんだろ。今日の紅白戦だって、同じコートにいるのをいい事に、何かとベタ付きやがって。オラ、さっさと行けよ」
そう言って影山が、ポンっと私の背中を押した。
及「ベタベタ、って?」
岩「紡、お前は男子に混ざってんのか?」
『混ざってるっていうか、今日は大地さんが一緒に紅白戦やる?って誘ってくれて』
岩「マジか?!危ねぇだろ、そんなの。またケガでもしたらどうすんだよ」
澤「そこは心配いらないよ。俺がしっかり守るからね。正確にはコートの中の誰もが、だけど」