第27章 小さな太陽と大きな背中
~影山side~
クソっ···例え部内の紅白戦であれ、負けた事にイラつく自分が···更にイラつく。
あの時、城戸は俺が日向を使うのを読んでた?
それとも、たまたまか?
それに、フェイントの時も。
本当は打ち抜いてやろうかと思ったけど、その先に城戸がいて···フェイクに変えた。
出し抜いてやろうと思ったのに、それも城戸は読んだ。
今更ながらに思う。
中学の時の城戸は、そういった時の読みがいいプレーをしていた。
もし、もし次に紅白戦に城戸が入るなら···ヘマはしねぇ。
絶対勝ってやる!
それで次こそ必ず···
「ハンバーグを勝ち取ってやる···」
日「またハンバーグかよ。お前どんだけハンバーグ好きなんだ?」
···声に出てたのか?!
「う、うるせぇ!オレが好きなのはポークカレー温玉入りだ!」
隣で汗を拭く日向に怒号をかまし、その足元に城戸のメガネを見つけて拾い上げる。
そう言えばアイツ、さっき···
日「あっ、それ城戸さんのメガネじゃん?こんな所に置きっぱなしで、城戸さんちゃんと見えてんのかな?」
「その心配はいらねぇだろ。コレはダテだ」
日「そうなの?じゃあ何でいつもメガネしてんだ?なくても見えるなら邪魔なだけじゃん?」
「···知るか、城戸に聞け」
そう言い残し、水道場に行った城戸の所へ足を運ぶ。
雑談する澤村さん達の中にひときわ小さな後ろ姿を見つけ、距離を縮めた。
「おい、城戸。忘れてんぞコレ」
振り返る城戸に、メガネを突き出す。
『あ、ゴメン影山。いまちょっと手が離せないからさ、そのまま掛けてくれない?』
泡だらけの両腕を見せながら、城戸は俺にそんな事を言う。
「面倒臭ぇよ···」
そう言うながらも、仕方ねぇなと付け加えメガネの向きを城戸に向けた。
『お願いしま~す』
そう言って城戸は、俺に真っ直ぐ体の向きを変えて、そっと目を閉じた。
いや、待て···なんで目を閉じる必要がある。
普通でいいだろ、普通で。
こんな、ちょっと上向きで目なんか閉じられたら···
まるで、その···なんつうか、アレだろ!
···ヤバい、だろ。
何の疑いもせず無防備に目を閉じる城戸の顔から、目が離せなくなる。
『ねぇ、まだぁ?』
人の気も知らねぇで···まだとか言うな!
何となく、緊張する。