第27章 小さな太陽と大きな背中
おかしな発言をする菅原先輩にやや呆れながら、私は小さくため息をついた。
『···男の人じゃなきゃ、いいんですね?』
だったら···
「紡!オレも混ぜろー!!」
『えっ?あ、ちょっと西谷先輩?!』
驚く私に構うことなく、ギューギューと抱きしめてくる2人の先輩達。
チラリと縁下先輩に目で助けを求めれば、口に指を当てながらも、反対の手で少し離れた場所を指差した。
あ···なるほど。
指し示された場所を見れば、そこには澤村先輩と清水先輩が何かを話していて。
助けを求めるなら···あの人だ!
『っ、清水先輩!助けて下さい!!』
声を上げると清水先輩がこっちを見てスタスタと歩き出した。
菅「清水は今、大地と合宿の話してるから来ないよ~だ···痛ッ!!」
清「残念でした。城戸さんに助けを求められたら、来る」
丸めたノートを抱え、清水先輩が2人から私を引き剥がしてくれる。
清「まったく、菅原は油断も隙もない···それに西谷まで」
西「潔子さん!オレも、オレもノートで殴って下さい!」
西谷先輩···ホント清水先輩が大好きなんですね···
澤「西谷、お前大声で変態発言やめなさいよ?スガみたくなるぞ?それに、紡の教育上よくない」
清水先輩の後に続いて歩いて来た澤村先輩に、スルリと背中に隠され私は困惑した。
『私の教育上って』
清「さすが、お父さん」
澤「清水?!」
クスクス笑う清水先輩が、見張ってるから顔洗っちゃいなさい?と言ってくれたので、手早く顔を洗い流す。
タオルを顔に押し当てながら、桜太にぃ直伝のヒジまで手洗い!を、思い出して、石鹸をモコモコと泡立てながらしっかりとヒジまで泡で包み込んだ。
西「紡、お前念入りに洗いすぎだろ?風呂じゃないんだから」
そう言う西谷先輩に、手洗いの基本です!と元気に答えてゴシゴシと腕やヒジを撫でる。
影「おい、城戸。忘れてんぞコレ」
影山の声に振り向けば、さっき放り出したメガネを私に向けて差し出す影山がいた。
『あ、ゴメン影山。いまちょっと手が離せないからさ、そのまま掛けてくれない?』
泡だらけの両腕を見せると、面倒だと言いながらも影山はメガネの向きを変えた。
『お願いしま~す』
そう言って私は、メガネを掛けて貰うべく体の向きを変えて、そっと目を閉じた。