第27章 小さな太陽と大きな背中
『ほら、よく言うじゃないですか。ヒーローは遅れてやって来る!って、ね?』
ちょっとおどけて言う紡に、思わず笑ってしまう。
「随分とのんびりなヒーローだな」
『でも、ヒーローです。だから信じて待ちましょう?あと少しだけ』
「わかった。その時は、好きなだけアイス奢ってやる!」
『1個でいいですよ、お腹壊すから』
「じゃあ、毎日奢ってやる」
もう一度腕を伸ばし、小さな体を抱きしめた。
『寒くても、ですか?』
「あぁ、寒くてもアイスは美味いからな」
『なんですかその、コタツでみかん的な発言は···』
コタツでみかんの例えの方が意味わかんねぇよと笑って、紡を抱きしめたまま笑い出す。
『じゃ西谷先輩、約束ですよ?』
「約束だ」
紡がオレの背中に腕を回し、ポンポンって叩く。
それが何だか、胸の奥を暖かくしていくようで、もう少しだけこのままで···と、思ったのに。
縁「はいはい西谷?公衆の面前でイチャつくのはそろそろ終わりにしとけよ~?」
「ち、力?!」
わざとらしくオレと紡の間をグイッと押し開け、力が通り抜ける。
縁「それから城戸さん?逃げて」
『逃げる?』
紡が聞き返し、力が笑顔で頷いた。
縁「あ、もう手遅れ」
菅「紡ちゃ~ん!!」
けたたましい足音を響かせ、スガさんが駆け寄って来る。
『あ、なんかヤバそう!』
縁「でしょ?」
一歩後ずさる紡とクスクス笑い出す力を見て、スガさんを振り返る。
菅「紡ちゃん!さっきの!さっきのアレはなに?!」
駆け寄りながらスガさんが叫ぶ。
『さっきのってなんですか?!』
菅「大地だけズルいぞ!!だからオレも!はい、ギュッー!」
『うきゃぁ!!スガさん?!く、苦しい!』
目の前の光景に呆気に取られ、茫然とする。
縁「驚くだろ?でも、これが今の日常のひとコマなんだよ」
『縁下先輩、呑気なこと言ってないで助けて下さいよ···』
日常···?
菅「紡ちゃん、オレというものがありながら他の男に助けを求めるとか···罪作りな子だね?」
スガさん、こんなキャラだったか?
『···男の人じゃなきゃ、いいんですね?』
呆れ笑いをしながら紡が言う。
なんか···なんか楽しそうじゃないか!
「紡!オレも混ぜろー!!」
軽く飛びついてスガさんごとオレも紡を抱きしめた。