第27章 小さな太陽と大きな背中
~西谷side~
大地さんが容赦なくスパイクを打った。
影山と月島のブロックを打ち破り、ボールが抜け出てくる。
届け!届いてくれっ!!
腕を伸ばし渾身の力を込めて床を蹴る。
ー ピッ! ー
一瞬の間を置いて、審判をしてくれている潔子さんが···笛を鳴らした。
『やったぁ!!大地さん勝ちましたよ!!』
クソっ···届かなかった···
野放しに喜ぶ紡が、向こうのメンバーとジャンプしながらハイタッチをして行くのを、床に伏せたまま···ただ、眺めてる。
田「クッソ~!お嬢にいろいろ負けた!!」
それも、仕方ない。
勝負は時の運、っていうからな。
こっちにみんながいるけど、向こう側だって大地さんや力達がいる。
それより驚いたのは、紡のガッツとファイトだ。
紅白戦が始まる前に、大地さんと力が紡を秘密兵器だと言っていた理由が分かる。
アイツ、なんであれだけしっかりバレー出来んのにマネージャーなんかやってんだ?
あれだけ動けるなら、烏野の女バレに入ったってやって行けんだろ?
故障···ってワケじゃなさそうだし。
なんか、もったいねぇな。
いや、それよりも···だ。
オレは紡に謝らないといけない事がある。
だか、しかし!
今は紡の周りには人が多すぎる。
澤「ひと息ついたら片付けな!」
『じゃあ先に私、顔洗って来ます!』
大地さんにそう告げて、紡が駆け足で体育館の外に出て行く。
···今がチャンスか?!
解きかけたシューズの紐を急いで結び直し、紡の後を追った。
水道で手を洗う紡の後ろ姿を見て、足を止める。
やっぱ小せぇよな。
なのに、オレはあんな粗暴に···
手に持ったタオルをグッと握り、柄にもなく勇気を出して一歩踏み出し声をかける。
「紡、あのさ、」
『あ、洗顔フォーム忘れた···』
「洗顔フォーム?」
思わぬ声の被りに拍子抜けする。
『あれ、西谷先輩も顔洗いますか?』
「え?あぁ、まあ···違う!」
『···洗わないんですか?』
「いや、洗うけど!そうじゃなくてだな!」
言いながら紡の腕が赤くなっている部分を見つける。
よく見てみれば、腕だけじゃなく、ヒザも···
「お前、あちこちアザだらけじゃねぇか」
『それを言うなら、西谷先輩の方こそです』