第27章 小さな太陽と大きな背中
澤村先輩の声に、菅原先輩が冷却スプレーを片手に走って来る。
菅「はいスプレー···うわ、紡ちゃん痛そうだな」
『全然痛くな、いたたたっ大地さん!そこ押したら痛いですよ!』
澤「1番痛いのはここか」
菅「痛いんじゃん···」
それは澤村先輩が押したからです!
まぁ、ちょっとは痛いけど。
そんなの別に病院へ行けとか言うレベルの物じゃないし。
普通に部活やってたら、日常茶飯事のことだし。
みんな心配症だなぁ···なんて思いながらも、その気持ちが嬉しくも思えた。
澤「このくらいでどうかな?もし痛いなら、紅白戦だし、抜けても、」
『抜けません!この試合勝ちたいです、絶対!』
澤「でも、これ以上ケガでもしたら」
『どうしてもダメなら、菅原先輩チームに無理やり入れて貰います。セッター欲しいなら、影山とトレードされてもいいです」
菅「オレは別に紡ちゃん大歓迎だけど?どうする大地?」
私のわがままと菅原先輩の言葉に、澤村先輩が考え込む。
あと、2点。
あと2点で勝てるのに。
ー 紡、主将の言うことは···絶対 ー
···こんな時に、あの言葉が浮かんでくるとかズルいよ、桜太にぃ。
『大地さん、どうしてもコートの外に出ろって言うんなら、従います···でも』
山「あのっ!あと少しだし、城戸さんがいたらダメですか?!」
山口君···?
山「これ以上何もないように、オレもっといっぱい頑張ります!それじゃダメですか?!」
澤「う~ん···」
なんか、山口君···変わったなぁ。
青城との練習試合前は、こう、なんて言うか自信なさげな感じだったのに、今の山口君は···
自分がいっぱい頑張るって、澤村先輩に正面切って言える位に···変わった。
『ありがとう、山口君。でも、』
山「あと少しなんですよ!それに城戸さんは、その、オレ達の仲間です!」
仲間···
その言葉に、心が暖かくなる。
ヤバい、泣きそう。
澤「そうだな」
山「じゃあ?!」
山口君の言葉に、澤村先輩が大きく頷く。
澤「山口には死ぬほど頑張って貰って、紡は無茶しない···オッケー?」
「『 はい! 』」
二人同時に、大きく返事をする。
『ありがとう、山口君···頼りにしてる!』
一瞬息を飲み、山口君は大きく頷いた。
紅白戦の勝利まで、あと···2点。