第27章 小さな太陽と大きな背中
桜「当直明けで寝てて、目が覚めてからリビングへ行けば・・・テーブルにこんなメモがあったよ」
そう言って桜太にぃが、シャツの胸ポケットから1枚のメモ用紙を取り出し、私達に向けた。
〝 桜太へ
紡が学校で倒れたと武田先生から連絡があった。早く行かないと死ぬかも知れない。あとは任せた。とにかく急げ 〟
・・・慧太にぃの字、だよね?
っていうより、なんてとんでもない事を。
これ、怒りの矛先・・・私に来るヤツじゃん?!
桜「これを読んで慌てる事はなかったけど、学校へ電話したら倒れた事は事実。慧太の方はアイツが帰ってから追求するから。で、もう1度聞くよ?具合いはどう?」
この口調、結構怒ってるモードの時の口調だ・・・
慧太にぃ・・・今日は帰って来ない方が・・・あ、ダメダメ。
そしたら私が桜太にぃとふたりっきりになるから、絶対帰って来て!
出来ればなるべく早く!
桜「紡?」
『ひ、貧血・・・かなぁ・・・なんて・・・』
桜「先生、初見の処置の記録を見せて頂けますか?」
ー 初見・・・ですか? ー
武「先生、お見せしても大丈夫ですよ。城戸さんのお兄さんはお医者様ですから」
武田先生、それ今言ったらダメなヤツ!
ー お持ちします ー
養護の先生から記録を受け取ると、桜太にぃはザッと目を通して先生に返した。
桜「澤村君、それから菅原君も。紡が迷惑かけてゴメンね」
澤「そんな、迷惑だなんて思ってませんから」
桜「今日は、このまま連れて帰っても?」
桜太にぃがそう聞けば、澤村先輩も勿論と答えた。
桜「ありがとう。じゃ、紡・・・話は帰ってからゆっくり・・・」
ひぃぃぃぃ!!
立ちくらみや貧血を起こした時より血の気が下がる思いをしている間に、桜太にぃは周りにお礼を言って帰り支度を終えて・・・タオルケットまで畳んでいた。
桜「帰るよ、紡」
ふわりとした感覚で、何が起きているのかは容易にわかる。
でも、ここで何か言っても意味がないことは今までの経験から知ってるから敢えて何も言わない。
菅「あの、荷物とかオレ一緒に運びます・・・大地は先に部活行ってて」
桜「いや、これくらい何ともないよ」
菅「・・・運びますから」
放課後の賑やかな廊下を、誰も何も言わないまま歩く。
この空間だけ、静か過ぎる・・・