第27章 小さな太陽と大きな背中
『その言葉に引き寄せられて、壁の上から飛び降りちゃいました。ピョーンって』
「その時は、怖いとか思わなかったの?」
オレがそう聞くと、小さく笑って、全然!だって、受け止めてくれるって信じましたからっと返してくれた。
『先輩と別れた理由も、嫌いになった、他に好きな人が出来たとかじゃなくて。悔いなく一生懸命バレーに打ち込みたいから、って。遅れてもいいから着いて来いって、言われたかったなぁって、今でも思います。だけど、それがなかったから、今こうして烏野での出会いがあって、東峰先輩ともお話してる訳で・・・人との繋がりって、不思議です・・・』
「そう、だね」
オレは・・・どうしたいんだろう・・・
このままバレーから逃げ続けるのか?
それとも・・・
戻っても、いいんだろうか・・・
・・・許して、くれるだろうか・・・
『暗い話は終わり!あ~、頭使ったら疲れた疲れた!糖分取らなきゃ脳みそが小さくなっちゃう!』
今までの空気をガラリと変えるように明るく振る舞う姿に、胸がチクリと痛くなる。
この子はどういう気持ちで・・・オレに打ち明けてくれたんだろう。
『あ、あじゅまね先輩も飴食べまふか?甘くておいひぃでふよ?』
「いや、オレはいいよ・・・っていうか・・・プッ、クククッ・・・その顔・・・」
口に入れた飴玉が大きかったのか、片方の頬がパンパンに膨らみ、まるでリスのようになっているのを見て笑ってしまう。
『また笑ってる・・・仕方ないでふよ。飴が・・・』
ー 紡ちゃん、起きてるかなぁ? ー
ー さぁ・・・でも、寝てるようなら出直せばいいさ ー
ガラリと保健室のドアが開き、スガと大地が入って来る気配がした。
ちょい待って、オレ・・・ここにいたらマズイんじゃ?
チラリと城戸さんを見れば、口元を押さえながら同じように慌てている。
・・・多分、その焦ってるのって飴玉どうしよう!とかだよね?
さっきの顔を思い出して笑いを堪えていると、そっとカーテンが開けられてしまった。
菅「紡ちゃ~ん、起きてるかなぁ?・・・・・・旭?!」
澤「えっ?!旭?!」
スガの後ろから大地が顔を出し、オレの存在を確認して驚いていた。