第27章 小さな太陽と大きな背中
『私の・・・』
もしかしてオレ・・・地雷踏んだ?
聞いちゃダメなヤツだった?
空気が、重い・・・
「あ、えっと、ね・・・城戸さん?今のはやっぱナシで・・・」
『失恋・・・です』
「そ、そっか、失恋か失恋・・・・・・失恋?!」
ヤバイ、聞いたらいけないこと第一号的なヤツだったんじゃ・・・
『中学の時、バレー部の先輩に、カッコよくて、優しくて、すっごく大好きな人がいて・・・でも、私が中3の夏の終わりに・・・別れたんです。それで、バレーを続けていると、どうしてもいつかは再開してしまうと思って、そう思うと苦しくて・・・バレーから逃げたんです』
ほんの疑問から、軽々しく聞いてはイケナイ事・・・だったなと、今更思っても仕方ないけど・・・
「なんか、ゴメン・・・変な事を聞いちゃって・・・」
『いいんです。大地さんやスガさんも知ってる事だし、私が乗り越えなきゃいけない壁はコレだったし』
「乗り越え・・・られた?」
『壁を越えるのが怖くて怖くて足踏みしていて、そんな時、大地さんやスガさん達が一生懸命背中を押してくれました。でも、壁の上に立つとやっぱり、怖くて・・・』
そこまで言って、城戸さんがタオルケットの端をギュッと掴む。
『本当に・・・』
「待って・・・もう、話さなくていいよ。ごめんね、思い出すと苦しいって言ってたのに」
『いえ、聞いて欲しいです。だから・・・』
最後まで、聞いて欲しい。
まっすぐな目でそう言われると、話さなければならないキッカケを作ったオレは、黙って頷づいた。
『壁の上に立つと、本当に乗り越えてしまっていいのか、とか、越えたら本当に何かが変わるのか?とか思うと、やっぱりそこで立ち往生しちゃって』
目を閉じて、ふぅ・・・と、ひとつ、城戸さんがため息をついた。
『壁の上まで来ると、前には行けない、でも後ろにも戻れない。怖い、どうしよう!どうしたらいいの?!って、震えるヒザを抱えてしまって・・・だけど、そんな時・・・』
顔を上げた城戸さんが、オレを見て・・・笑った。
『大地さんが、両手を広げて呼んでくれたんです・・・おいで、絶対に守るから一緒に行こう、って・・・』
「大地が?」
『はい・・・正確に言えば、大地さんを先頭にした、バレー部のみんな、ですけど』
そう付け足しながら、城戸さんがニコリと笑う。
