第27章 小さな太陽と大きな背中
『まだスガさんに会ったばかりの頃に、私がバレー辞めたいって思ったのは、バレーが嫌いになったからじゃ、ないんじゃないかな?って。オレは1人、そういうヤツを知ってる。その人と私が、同じような目をしてる気がするから・・・って』
スガ・・・
『確かに私は、バレーが嫌いになったから離れたんじゃないんです。バレーをすると苦しい事を思い出すのが怖くて、逃げてたんだ・・・って改めて思い知らされました』
「でも、キミとオレとじゃ・・・違うだろ?」
オレの言った言葉に、城戸さんが小さく首を振る。
『初めて東峰先輩を見た時、スガさんが言ってた人って、この人だって思ったんです。だって・・・東峰先輩は話しながら、その頃の私と同じ目を・・・してたから』
何も・・・言えない。
『それに東峰先輩はさっき、うちの部の・・・って言いましたよね?だから、部に顔を出さないのはバレーが嫌いになったって理由じゃないのかな?って』
オレとの、ほんの少し交わした会話の中から拾われた言葉が、自分で胸を熱くする。
『乗り越えなきゃ行けない壁は、きっと誰にでもあると思うんです。1人で超えるのが困難だったら、背中を向けて目をそらさないで誰かの手を借りてもいいんじゃないですか?・・・ほら、私みたいに』
「城戸さんみたいに?って、大地のこと?」
『もう、ビックリしましたから!お風呂から出たら、大地さんとスガさんと影山がリビングにいて兄とお茶してたんですよ?何事かと思いましたから』
ちょっと思い出しながら、城戸さんが笑い出す。
スガが・・・大地が惚れ込んで勧誘、って言ってたのはこういう流れだったのか。
でもそれだけじゃ、何にベタ惚れしたのかは分からない。
見た目・・・とか?
いや、確かに小柄でカワイイとは思うけど・・・
オレや大地やスガからしたら、ほとんどの女子は小柄なんじゃ?
・・・じゃあ、なんだ?
『東峰先輩はきっと、壁の高さに気が付いていないだけだと思うんです・・・』
「・・・高さ?」
『はい、高さです。今は目の前に迫る壁の存在に圧倒されていて、もうダメだ・・・前に進めない・・・立ち直れない・・・心が折れた・・・とか、思ってませんか?』
「あはは、結構キビしい言葉だね・・・」
どよ~んと重くなる気持ちと一緒に、つい、そんな言葉を呟いた。
