第27章 小さな太陽と大きな背中
~国見side~
金「雨降るなんて聞いてないよなぁ」
隣で肩を並べて歩く金田一が、ため息混じりに漏らした。
「そう言ったって、お前しっかり置き傘してんじゃん」
金「国見だってそうだろ」
「オレのはちげーよ。置きっぱなしだっただけだ」
大して変わんねーよと言いながら、でも傘あって良かったな!と金田一が笑い、まぁな、とオレも返す。
金「あ~、マジで腹減った。まさか練習終わりに岩泉さんの自主練に付き合わされるとか思ってなかったしな」
それな・・・
まさかあの練習の後に矢巾さんと合わせる自主練をやるとか、どんだけ体力有り余ってんだか。
しかも、及川さんを無理やり追い返してまで自主練やる意味だし。
だいたいにして、オレと金田一でひたすらブロックに徹しろとか、金田一はともかく、オレはマジで腕もがれるかと思ったしな。
散々、通常練習した後に自主練付き合わされたせいで汗だく半端ねぇし。
更に加えて、この鬱陶しい雨、雨、雨。
制汗シート使いまくって正解だ。
あのまま帰ってたら、歩きながら街中に死臭漂わせるとこだった。
それに関しては、紡に感謝だな。
制汗シートなんて使い始めたのは、中学の時に紡から貰ったのが最初だったから。
スプレーよりシートで拭き取った方がサッパリするから使って?とか言って渡されて、使ってみて確かにそうだったし、香りも嫌いじゃなかったし、ずっと同じ物を使ってる。
あの頃は歩く度に紡と同じ香りがするのを、隣に紡がいるようだ・・・とか思ってたんだよな。
今・・・隣にいるのは金田一だけど。
視界に映り込む現実感に、はぁ・・・と息を吐いた。
金「なんだよ国見、ため息とか。知ってっか?ため息吐くと幸せが逃げるんだとよ。き、城戸が言ってたけど!」
「うるさい金田一。オレの幸せはいま手元にないから逃げようがないんだよ」
むしろ、どうやったら手に入るのか模索中だっつーの。
まったく、退院したって連絡だって・・・
ー ちょっと早く退院出来たー!ラッキー! ー
・・・っていうひと言と、パンダが手を振るスタンプ1つ。
それだけ。
コッチの気も知らないで、ナメてんのかよ。
やっぱあん時、キスっとけばよかった。
でもオレはなんか、アイツを騙すみたいな気がして・・・出来なかったんだ・・・
ー やめて下さい! ー
