第6章 真珠を量る女(ロー)
それからのことはよく覚えていない。
おそらく、最初の挿入は1分ともたなかったような気がする。
クレイオはずっと涙を流していた。
処女だったというのに、子宮口をまともに突かれて擦られたんだ、相当の痛みだっただろう。
だけど一度も罵ったりはしなかった。
幾度となく求めてくるローを受け入れていた。
そして気付けば、二人は薄い布団の上で寄り添いながら気を失うように眠りに落ちてしまっていた。
「・・・・・・・・・」
欲望を解き放ったあとの甘い疲労感に身を委ねながら見渡せば、ところどころに精液と愛蜜、そして鮮血が飛び散っている。
クレイオは・・・生きているだろうか。
身体を起こしてみると、背中に鈍い痛みが走った。
「痛ッ・・・」
無意識のうちに、彫ったばかりの場所を下にして寝てしまっていた。
布団を見るとクレイオのものではない血と墨が染みている。
「・・・色、飛んじまったか」
まだ筋彫りの段階だから、どうとでも修正はできるだろう。
だが、クレイオの怒る顔が目に浮かぶ。
「おい・・・随分と無防備に寝ているが・・・おれは海賊だぞ」
指先で唇をそっと撫でると、くすぐったそうに顔を背ける仕草に、ローの口元がほころんだ。
結局、抱き合っている時もあの言葉を言うことができなかった。
もしかしたら彼女に抱いているこの感情は、それとは違うのかもしれない。
“愛している”
きっと・・・あの人の本懐を遂げるまでは、口にしていい言葉じゃないのかもしれない。
この心は彼からもらったもの。
その恩を返してからじゃないと、誰かを愛することは許されない。
背中に刻まれた刺青は、その覚悟を示すものだ。
「コラさん・・・」
苦しそうにその名を呟くと、ローは何も知らずに眠るクレイオをいつまでも見つめていた。