第6章 真珠を量る女(ロー)
「ロー・・・貴方は私を“女”として見ているの?」
「それ以外にこうなっている理由があると思うのか?」
青白く光る球体の中で、クレイオは自分に覆いかぶさるローを静かに見上げた。
力では勝てようはずもないのに、その瞳に少しの恐怖も無い。
むしろ、自分を犯そうとしている海賊を受け入れているようにすら見えた。
「3分だけ・・・待ってくれない? 話があるの」
ローはクレイオが何を企んでいるのか分からず、眉間にシワを寄せた。
主導権は渡さないよう、彼女の両腕を畳に押し付けながら次の言葉を待つ。
「以前、ある海賊が真珠を二つ、両替しようと持ってきた。一つは美しい玉だったけれど、もう一つは形成に失敗してイビツな形をしていた。どちらの真珠が高かったと思う?」
「・・・そりゃ、綺麗な玉の方だろ」
するとクレイオは微笑み、首を横に振った。
「私はイビツな真珠に、完璧な形をした真珠の50倍の値をつけた」
当然、海賊は怒った。
完璧に丸い真珠に5000ベリー。
いびつな真珠に25万ベリー。
そんなバカげた査定があるかと怒鳴り、丸い真珠にも同等の値をつけろと脅してきた。
「その海賊は、私が丸い真珠に5000ベリー以上出さないと知ると、いびつな真珠だけを25万ベリーで売って出て行ったわ」
「・・・当然だと思うが」
「ふふ・・・でもね、そのいびつな真珠は“真珠層”の重なり具合が見事で、幾重にも光る、希少価値の高い宝石だった」
天竜人への献上品の装飾にも使われる珍しい真珠。
変形したことにより幾重にも重なる光が、七色を生み出す。
凹凸によってさらに艶が際立つその真珠には、100万ベリーを支払う宝石商もいるほどだ。
「宝石も・・・人も・・・“形”で価値を量ることはできない」
ローは困惑した。
これから男に抱かれる女の話にしてはあまりにも抽象的で、色気がない。
「・・・3分経ったが、真珠のほかに他に言っておきてェことはあるか」
クレイオはローを真っ直ぐと見て、不安そうに瞳を揺らした。