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【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第6章 真珠を量る女(ロー)




「ああ、そうだな・・・互いに勘違いしねェためにも、ちゃんと謝っておく」


氷の血を持つ外科医から、鋼鉄の度胸を持つ彫り師へ。


「さっきのキスは、無意識にしたものだ」


“H”の刺青を施した親指の腹で、クレイオの唇をなぞる。


「いわゆる“自己制御の障害”ってやつだな」


口の中を診察するかのように顎を押して開けさせ、その中に親指を差し込む。
ぼってりと肉厚な舌の感触を楽しみつつ、ゆっくりと顔を近づけた。


「驚かせて悪かった」


もしクレイオの唇がローの親指に触れたら、せっかく入れた墨が飛んでしまう。
相手がえずけば自分の刺青が台無しになる、そのギリギリのラインを越えない程度に口内を指で掻き回すローに、クレイオは身を委ねるようにそっと目を閉じた。

窓の向こうには、太陽を受けて七色に光るシャボン玉。

その童話のような景色とは不釣り合いな、墨の匂いと血の匂いが漂うこの部屋で・・・


「今度は意識的に自己制御を外す」


ローは再びクレイオに唇を重ねた。
今度は軽く開いた歯の間から舌をねじ込む、深い深いキス。


「・・・んッ」


───互いに勘違いしないためにも、はっきりさせておこう。

この感情は“無意識”だけで終わるものではない。

たとえ刹那的であろうと、衝動的であろうと。
何かの強い“力”に引き寄せられているのは明らかで。

その力が互いの過去なのか、それとも別の運命なのかは分からないが・・・


「悪くねェ」


糸を引かせながら唇を離し、不敵に微笑みながらクレイオを見つめた。

その青みがかったローの瞳には・・・

全てを壊したいという“狂気”と、誰かの痛みを理解しその人を想う“心”の、両方が存在していた。











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