第26章 揺れる心〜愛の逃避行、無垢なる笑顔と恋のlabyrinth〜
「なぁ、レディ?」
「なあに?」
アイスを頬張りながら綺麗な瞳がオレを見つめる。
クズのオレには眩しい、澄んだ目。
「レディ...は、オレが好きか?」
オレと言うけど、今この格好だから自分のことじゃない。クソ松の事だ。
「うん、大好きだよ?」
笑って即答する。
オレに言ってくれてるのに、それはオレじゃない。
その事がこんなにも胸をえぐる。
ぐっと知らぬ間に力を入れた自分のアイスカップが、ぐにゃりと歪む。
「そ、それじゃあ。おそ松兄さんは?」
「白ウサギのお兄ちゃん?うん!だいすき!」
屈託のない答え...。
「じゃ、じゃあ。チョロ松...は?この間ケンカしていただろう?」
「チョロちゃん?うん、でもちゃんと仲直りしたよ?それでね!ケーキ焼いてくれたの!」
輝く笑顔が眩しい。
「十四松は?」
「じゅっしーお兄ちゃん?えっとね、この間肩車してくれたの!びゅーーんって!一緒に遊んだの!」
聞くたびに思う。
嬉しそうに、話すから...。
トド松はって聞こうとしたけど、そう言えば鈴音の事で今日喧嘩したばっかりだったと思い出す。
あんなふうに言ってしまったのは、オレが鈴音と一緒にいられないことを当たったから...。
クズが羨ましいとか、そんな感情抱くことすらおこがましいよね。
本当に、馬鹿みたいだよね。
不思議そうにオレを見る鈴音、溶けかかったアイスがカップの中でドロドロと残ってる部分も溶かしてく。
汚い感情が、綺麗な思いを溶かしていく。
「じゃ、じゃあアレだな?みんながいるから、もうチャシャ猫のお兄ちゃんはいらないな?そうだろう?レディ?」
オレは...馬鹿だ...。