第26章 揺れる心〜愛の逃避行、無垢なる笑顔と恋のlabyrinth〜
トレーを持ちながら、席へ向かう。
「こっちだよ!」
オレが席を指定したのに、一生懸命ここだよっと手を振る鈴音...。
そんな事しなくてもちゃんと見えてる、けど...。
きゅうっと胸を締めつけられる。
「お待たせ...したぜレディ」
相も変わらずちぐはぐなクソ松語、正しいカラ松のやり方がわかんない。いや、正しいカラ松ってなんだよ。
なんて自問自答していると、あれっと声がする。
「...アイス?二つ?」
亜麻色のミルクティのアイスと柔らかい紫に染まったアイスが、シンプルな茶色のカップにピッタリとおさまっている。
「私、あれ?あれ?一つだよね?」
「...こっちは、オレがた...eatする方だぜ?」
「イート?」
可愛らしく小首を傾げる、何これ自分で言っててわからない事を教えるのって詐欺に近い気がする。
「あ...オレの食べる用...だけど、その前に味見する?」
スプーンで紅いものアイスをすくいとる。
んっと言って鈴音の口へと運んだら、嬉しそうに口をあーんと開ける。
今か今かと開ける可愛らしい口の中に、そっとほおりこむ。
「...おいしい?」
なんて聴くまでもなくて、目を細めて嬉しそうに鈴音が笑って頷く。
「すっっごい美味しい!」
「そりゃ、よかった」
にやっと口元に三日月を描きそうになって、慌てて隠す。つい自然に口角が上がったけれど、クソ松はこんなふうに笑わない。危ないバレるとこだと、必死に口角をおさえて前に向き直る。
「はい!あーん!」
可愛らしい声とともに、オレの目の前に優しい亜麻色のアイスが差し出されていた。
びっくりして目を丸くしてたら、とびっきりの笑顔であげるって言われて...。
いいの?こんなゴミと間接キッスなんかして...。
なんて思ったり、まぁ大人の鈴音とは間接キスよりもっとアレな事したけど...。
自分で考えといて、何故だか急に恥ずかしくなってくる。