第26章 揺れる心〜愛の逃避行、無垢なる笑顔と恋のlabyrinth〜
ピッと押されたボタン、ガシャンとジュースが下に落ちる音とともにゆっくりと鈴音をおろす。
鈴音はジュースを手に取った後に、こちらをくるりと振り向いた。
「ありがとう....あれ?カラちゃん?」
「....あっ...!!」
不思議そうに小首をかしげる。
鈴音に会えた嬉しさですっかり忘れてたけど、オレは今カラ松だ。カラ松は鈴音の事を名前で呼ばない。
「そ、レ、レレレ、レディ...無事で安心したぞ」
レディってなんだ!
小っ恥ずかしい!穴があったら入りたい!
ジュースを大事そうに抱えながら、鈴音はキョトンとオレを見る。
しまった、やっぱりバレた?
「...カラちゃんさっきまで寝てなかった?」
気にするとこそこー!?
よっしゃー!想像以上に鈴音が鈍くて助かった!ちゃんとクソ松と思ってる!
いつもなら地獄だけど、今回はよかった!
「あれ?でも、お洋服かわってる?」
そこは鈍くていいのに!
なんで気づいちゃうの!?オレの今1番気づいて欲しくない所にどうして気づいちゃうの!?
しかもものすごく純粋な顔してそれを聞くあたりが辛い!
オレの心がゲシュタルト崩壊起こすまで待ったなしー!
「あ、えと、あれだレディ!は、ダッシュしたから少し汗をかいてしまってな?し、紳士たるものレディの前で汗の香りを漂わせるわけにいかないだろう!?」
紳士ってなんだ!?
今すぐにでも尻出して脱糞したいんですけどー!!
「本当だ凄い汗、そうだあのねハンカチあるよ?トド松お兄ちゃんが持たせてくれたの!ちょっと待ってね?」
逆に気を使わせたー!!?
なんだこの幼女、スペック高すぎか?
「はい、でもカラちゃんは汗くさくなんてないよ?」
つかなんだその可愛い笑顔は、クソっ!
これがオレ自身じゃなくて、クソ松に向けられた笑顔だと思うといつもの一千万倍は腹立つ。
...よし、クソ松を殺そう。